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[2002年9月13日更新] |
ここでは諏柄 渤人のアンプづくりに関連してニフティーのFAV<Audio & Visual フォーラム>での スガラボットの発言を集めてみました。このアンプ作りに至った経緯がおわかり頂けると思います。 著作権の問題もあり本人だけの発言に限らせて頂いておりますが、他の方から頂いたコメントに対 するレスポンスの場合、元の発言には>の引用符をつけてその部分を明確化しております。コメント の元の発言を参照されたい場合は、ニフティーのFAV #9会議室・自作工作の部屋「はんだごて」の 過去ログを検索してみてください。 目次初めまして: アンプ自作派のヴィオラ弾き00243/00243 HDC00112 諏柄 渤人 初めまして: アンプ自作派のヴィオラ弾き ( 9) 00/08/28 18:15 皆さん、こんにちは。 諏柄 渤人(スガラボット)と申します。 このフォ ーラムに入会してから約1ヶ月、ROMしておりましたが、この辺で自己紹介させ ていただこうかと思います。 本職は通信機器メーカの退役エンジニア(定年まではまだ7〜8年ありますが)で すが、音楽、特にオーケストラや室内楽演奏が好きで、自分ではヴィオラを弾 いております。 実はこのハンドルも愛器のヴィオラの作者の名前を採ったも のです。 またオーディオアンプの自作派でもあり、これまでに約10台以上製 作しました。 もう半世紀近く前、ようやく物心ついたときにはフィールドコイルタイプの 30cmダイナミックスピーカ(なんとコーンはなめし革だった)を親父が製作した 2A3PPのアンプでドライブするシステムの音が流れていたのを覚えています。 竹針でトレースするSPレコードは、レコードが痛まないように一回かける毎に 竹針の先を刃物で尖らせていたのが忘れられません。 この頃のソースは一面 が3〜4分しか保たないSPレコードか、AMラジオだったと思います。 当時の NHKラジオのクラシックアワーのテーマ曲であったシューベルトの「楽響の時」 も擦り込まれた想い出の一つです。 親父は戦時中から近所の学校や幼稚園に頼まれて、校内放送用のアンプを自作 していたようで、そのころの名残としては6L6PPのアンプや沢山の真空管の入 ったジャンク箱がありました。 僕自身は中学生になった頃から、当時の電波少年として標準コースであったハ ムを始め、高一中三の受信機や807シングルの送信機を自作していたのですが オーディオを自作ようになったのは大学生になってからです。 確か中学生の 頃にCQ出版社の「トランジスタ技術」創刊号を買った覚えがあります。 その後通信機器メーカに就職して、趣味では自分で設計するオーディオアンプ づくりを始めたのですが、当時は最新式であったトランジスタを使う“石派” でした。 しかしやっぱり幼児期に擦り込まれた真空管の音が忘れられず、現 在は金田式の6C33C-BのOTL/DCアンプ(95年12月号版)に落ち着いております。 追々この辺の遍歴も紹介させていただくつもりですので、今後とも宜しくお願 い致します。 2000年 8月 28日 (月) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作(1)00505/00505 HDC00112 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作(1) ( 9) 01/01/09 01:43 00243へのコメント 自作派の皆さん、お久しぶりです。 8月の発言以来四ヶ月ぶりになります。 僕のアンプづくりの遍歴を追々記そうとは思っているのですが、昔の話はその うちにまた書くことにして、現在標題のV-FET使用の金田式アンプを試作中で すので、これについて随時報告しようと思います。 僕と金田式との出逢いはかなり古く、昭和52年(1977年)誠文堂新光社発行の金 田明彦著『最新オーディオDCアンプ』掲載の2SB388/2SB541の3パラPP AB級 120WDCパワーアンプが最初でした。 これをオリジナル通り田村のトロイダル パワートランスを使用して製作したのですが、その発熱量には閉口しました。 このアンプは親父に譲り、親父はアルテックの612Cのスピーカをドライブして 聞いていました。 ところが親父の他界後、姉がその図体の大きさと発熱をも てあまし、これも親父が買った2トラ38のテレコ、RS1500U共々屑屋に払い下げ てしまったのです。 この話をかなり経った後、姉から聞いて地団駄を踏んだ のがつい昨日のことのようです。 僕自身は、完全自作設計のV-FET 2SK60/2SJ18パラレルPP、70Wドレイン・フォ ロワータイプのDCアンプの音がやはり昔擦り込まれた真空管アンプに近かった のでしょうか、ずっとこれを使用しておりました。 最近でこそ金田式もドレ インフォロワーですが(1993年9月号以降)、僕はかねがね出力デバイスがその 持ち味を出し切るには電圧増幅率が1以下のソースフォロワーでは無理で、ち ゃんとプレート/コレクタ/ドレインから出力を出すべきだとの持論を持ってお りました。 ただこれを当時知られた回路で実現するのはかなり難しく、結局 4ステージのアンプとなってしまい、スタガー比がとれなくて発振対策には苦 労したものです。 それで局部帰還を多用し、オーバーオールNFBは軽めにし てできたこのアンプがその後15年以上にわたって僕のスタンダード機となった のです。 その後、仕事も忙しくなってアンプ製作から暫く遠のいて十数年経ちましたが、 1993年3月号のMJ誌を10年ぷりに買って、そこに出ていた金田式No.128オール FET万能型スーパーストレートプリメインアンプのメイン部だけを作ったのが アンプづくり復活のきっかけでした。 このGOA式アンプは電源レギュレータ を使用しないのにほとんどハムもなく、特にスイッチオン時のショックのイズ が皆無であることに感銘を受けました。 ただ、この金田式のダンピングの効いたアンプはスピーカを締めつけ過ぎのよ うな気がして僕の趣味には合わず、NFBを終段からとソースフォロワーの前段 からのNFBとの並用にして、ダンピングファクターを減らす等改造して暫く使 用していたのですが、結局V-FETのスタンダード機の座と入れ替わることはな かったのです。 その後金田式は前に以下のように書いたとおり1995年の6C33C-Bの製作になり ます。 > しかしやっぱり幼児期に擦り込まれた真空管の音が忘れられず、現在は金田式 > の6C33C-BのOTL/DCアンプ(95年12月号版)に落ち着いております。 この6C33C-BのOTL/DCアンプはスピーカMFBもついてダンピングも強すぎず、室 内楽を一緒に演奏する音楽仲間からも絶大な支持を得て現在の我が家のスタン ダード機となっています。 ただ元々石派の僕としては、真空管だけにその座を明け渡すのは釈然としない こともあり、昔のノスタルジーもあって機会があればぜひ最新の金田回路で V-FETを使用したアンプを試作してみようと思っていたのです。 2年ほど前、若松通商から限定でソニーの2SK82というV-FETが販売されていた のを見つけ、早速これを8ペアー購入しておいた次第です。 この2SK82という のは確かヤマハのB-1というアンプに限定的に使用されていただけで、市場に 流通することもほとんどなく、CQ社のFET規格表にも出ていないということで、 買ったはいいがその素性を知るのがこれまた大変でした。 そういう訳で、部品メーカーに顔の利く同僚に頼んでソニーの内部資料を取り 寄せてもらったのです。 この資料には'88.3.8付けでディスコン、'94.5.31 に廃品種のスタンプが押してあります。 1998年10月号の若松通商の広告ではこの50ペアー限定販売の2SK82の規格は 100V 10A 100Wとありますがウソばっかり。 多分推定なんでしょうが、ソニ ーの内部資料によれば、これは(D級アンプ用)240V 10A 95Wということになり ます。 これをどういうアンプに仕立てるか、考えているだけで時間もなくて二年も経 ってしまいましたが、この秋思い立って、まず2000年3月号のNo.158の部品セ ットをテクニカルサンヨーから購入。 UHC MOS-FETによる最新の成果を確認 後、このアンプ部のUHC MOSをV-FETに置換えたアンプ部を製作して鳴き合わせ してみようという魂胆です。 以下続く 2001年 1月 8日 (月) 守田 直哉最初に戻る RE^2:金田式ってマイナー?00506/00506 HDC00112 諏柄 渤人 RE^2:金田式ってマイナー? ( 9) 01/01/09 14:34 00421へのコメント #505で金田式、V-FETアンプの試作を報告している諏柄 渤人(スガラボット)で す。 もう二ヶ月以上も前の発言へのレスですが、思いついたことがありまし たので記すことにします。 kontonさんは、以下のI〜Vの時代についてコメントされていますが、僕も #505で書いたように一応この全ての時代は経験しているわけで、僕の感想を以 下に記します。 > T AC電源レギュレーター搭載時代 > : > U 電池式GOA時代 > : > V 完全対称型時代(現在) > : > といったところなんですが、テスターだけで製作しても出来てしまえば安定して > 使えています。 僕も一応電子回路エンジニアの端くれでしたので、完全自作設計アンプなどは 会社へ持っていって各種測定器で測定したりもしましたが、金田式を家で自作 したときは僕もテスターだけでした。 GOAアンプといってもNo.128オール FET万能型スーパーストレートプリメインアンプはAC電源なので電池での製作 経験はありません。 完成する前に壊さないためには、まず第一に徹底的に配線チェックをして誤配 線をゼロにすること、これに尽きます。 もう一つは回路に不用意に接触して ショートさせてしまって部品をお釈迦にしないようにすることが非常に重要で す。 不注意で壊さない限り、普通の使用状況で壊した経験はありません。 但し、一回友人の家に例の6C33C-Bを持ち込んで、いい音でしょう等といい気 になって試聴していたとき、友人の家のプリアンプが不安定で、プリアンプの 出力にDC成分が出てきてアンバランスとなり、6C33C-Bが急に明るく輝きだし たと思った途端、片CHが吹っ飛んでしまった経験があります。 この時、インサーキットで不良部品を特定して修理しようとトライしたのです が、何しろ6C33C-Bアンプはマイナス電源が-260Vと高電圧で、おまけに初段か ら終段まで全ての部品が直流的に接続されている金田式DCアンプは、C結合の 真空管アンプのようにステージ毎のバイアスがアイソレーションされているア ンプとは違って不良部品の特定が非常に難しいのです。 この時はいくつかの 部品が連鎖反応でお釈迦になっていたようなのですが、結局インサーキットで の修理はあきらめ、片方のチャネルを全部新品の部品で組み直しました。 あと金田氏はアマチュア精神の固まりみたいな人で、普通プロのエンジニアに は設計時に必須の「ディレーティング」という概念を全く持っておられません。 ディレーティングというのは部品を最大定格値からいかに余裕を持って動作さ せるかという指標で、クリティカルなパラメータでは最大定格値の70〜80%、 消費電力の定格などは普通50%以下、抵抗の場合は定格ワッテージの1/3〜1/4 程度以下で設計するように各企業毎の規定があるのが普通です。 また発熱に ついても手の触れるところは真夏でも50℃を超えないこととか、内部でも60℃ 以下にせよとか色々うるさい条件が付いてきます。 金田氏のアンプにはこのディレーティングの概念が無く、耐圧などを見ても定 格ギリギリで(時には定格を超えて)使用されていることが多いのです。 この ことから金田式アンプは危険なアンプであるという風評が経っても致し方ない 部分があります。 ただ裏を返してみれば、定格ギリギリだからこそCobなども最小でリニアリテ ィーの良い部品を用いることができ、メーカー製のアンプにありがちな鈍重な 性能からは一線を画しているという事情もあるのだと思います。 金田式アン プはレーシングマシンだという評もあながち的をはずれた表現だとは思いませ ん。 しかし、金田氏はカレントミラーや電流帰還型アンプの定電流負荷特性の応用 面で非常に優れたアイデアを数多く提案しておられ、僕ら(元)プロエンジニア の目からも尊敬しております。 特にGOS増幅段、完全対称アンプのドライブ の仕方とか、NFB帰還素子自体を低電流負荷増幅段の負荷にして、オープンル ープゲインとクローズドゲインの差を一定とする等量NFBイコライザなどは後 世まで残るアイデアだと思います。 一旦完成したアンプのパワーステージと虎の子のスピーカを壊さないためには、 音質の話には少々目をつぶっても終段電源のプラスとマイナスに1〜2アンペア のヒューズを挿入されたらよいのではないかと思います。 終段が三極管や V-FETでなければヒューズのインピーダンスの影響はほとんど出力には現れな い筈ですから。 アンプの物理測定ではなく、普通の家で音楽を聴いている分 にはこれで問題はないでしょう。 但し僕自身はそんなことはしていませんが。 音質については、前の#505にも書いたようにMFB付きのVの完全対称時代以前 のT〜Uの時代はスピーカの音が締まりすぎで、僕の好みにあまり合わなかっ たのは報告の通りです。 もちろん使っているスピーカが僕のは国産の中級品 で金田アンプ信者の皆さんのグレードとは比ぶべくもないことにも一因がある とは思いますが‥‥。 (かくいう僕も相当な信者かな?) 2001年 1月 9日 (火) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る RE^2:V-FETで金田式を試作(1)00508/00508 HDC00112 諏柄 渤人 RE^2:V-FETで金田式を試作(1) ( 9) 01/01/10 18:32 00507へのコメント Yukkeさん、こんにちは。 > たぶん、あと数ヶ月で部品も手に入れられなくなるのではと、心配ですが。 >改行位置変更しました> そうなんですよね。 ジャンクションFETは軒並み無くなってきて、今まともに手に入るのは 2SK30ATMと2SK170くらいですか。 ススムのRE55Fシリーズの抵抗も生産中止 でテクニカルサンヨーでは取扱っていない。 あとツェナーダイオードの05Z シリーズも無いし‥‥。 多分もう石を使った自作は20世紀で終わりになったような感じですね。 自作 派は真空管アンプしか作れなくなるのではないでしょうか。 確かにメーカのサービス保証期間が終了して放出された保守部品だけが入手手 段であるような部品を使って組み立てている状況ですから、石派にとっては今 が最後のチャンスなのかもしれません。 何か、新世紀に入った新年早々寂しい話ですね。 2001年 1月 10日 (水) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る RE^2-2:V-FETで金田式を試作(1)00512/00512 HDC00112 諏柄 渤人 RE^2-2:V-FETで金田式を試作(1) ( 9) 01/01/11 20:05 00511へのコメント Λコンさん、はじめまして。 諏柄 渤人です。 > B1については私の調べた限りでは2SK77が正解だと思います。 > > http://member.nifty.ne.jp/MUTSU/e/hp018.htm ホームページを見せていただきました。 大変貴重な情報をありがとうござい ました。 また、V-FETアンプのページで1996年5月の金田式のアンプ回路図を 紹介されていますが、僕はこの記事を見落としてしまったようです。 今日帰 ってから早速調べてみます。 重ね重ね御礼申し上げます。 実は、僕も2SJ18は数ペアー確保してあるのですが、やはり何となく半導体の P-chでの性能はN-chから見るとキャリア移動度の点で劣るという印象が強く、 どうせ作るならN-chでという思いが勝って今回の2SK82の話になってきたわけ です。 本オリジナル回路を見ると二段目の差動アンプは2SJ72に2SJ76のカスコード接 続となっていますが、やはり2SJ72が入手できるとすればこのようにするのが 順当なんでしょうね。 僕も虎の子の2SJ72を何ペアーか確保してあるのでやってできないことはない のですが、2SJ72の入手難のため最近の金田式は一段目の差動アンプでゲイン を稼ぎ、二段目の差動はリニアリティーに目をつぶって2SJ77に電流帰還をか けて使用する方式になっておりますので、UHC MOSとの比較の点からもこの方 法で行こうと思っています。 Λコンさんはヴァイオリンも自作されるようですね。 僕は楽器の自作はしま せんがヴィオラを弾く方にアンプづくりよりもずっと多くの時間を費やしてい ます。 同じような趣味をお持ちのΛコンさんに親近感が湧いてきました。 因みに僕のハンドルはヴィオラの制作者(イタリア人)の名前からとっています。 今度とも宜しくお願いします。 PS. ホームページでの金田式の回路図は大変きれいに書けていると思いました が、何というソフトですか? 2001年 1月 11日 (木) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る RE^4:V-FETで金田式を試作(1)00525/00525 HDC00112 諏柄 渤人 RE^4:V-FETで金田式を試作(1) ( 9) 01/01/14 01:05 00514へのコメント Λコンさん、こんばんは。 > http://www.asahi-net.or.jp/~uh2h-okd/schsoft.htm > > にフリーの回路図ソフトが置いてあります。 早速の情報有り難うございます。 今朝早速そのフリーソフトをダウンロード してきてこのV-FETアンプの回路図を入力しました。 このハンダゴテの部屋の議論をより具体的なものにするため、回路図を皆さん にも見て頂けるようにしたらいいと思うのですが、そのためにはFAVの#6ライ ブラリにCE2とかBMPなどのファイルをアップロードすればいいように思います。 ただ、#6ライブラリを見ると98年以降の書込みがないようなのですが、こうい う事をするのはこの部屋の流儀に反するのでしょうか? 小生はまだFAVの経験が浅いのでしきたりがよく分りません。 この辺の事情 をお教えいただければ有り難いのですが‥‥。 よろしくお願いします。 2001年 1月 14日 (日) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作(2)00510/00510 HDC00112 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作(2) ( 9) 01/01/10 23:04 00505へのコメント さて、V-FETを使用した金田式の回路については、実は金田氏自身がMJ誌の94 年9月号のNo.134 2N3055によるA級50W/AB級130Wの製作記事の中でその基本形 を紹介されています。 但し、この時点で既に金田氏はV-FETの入手困難を挙げて、以下のように書い ておられます。 > かつて3極管特性をしたFETとして華々しくデビューし、はかなく消えて > いったV-FET(縦型FET)は‥‥ > : > 逆バイアス動作、ドライブ電圧の大きさ、ゲインの小ささが災いして、 > V-FETは本来の特徴が発揮されないまま消えていった残念な増幅素子である。 > 完全対象アンプでV-FETを現代によみがえらせることも考えられる。 しか > し一般読者には入手できない素子なので、もし読者の希望が多いならば発 > 表することにしよう。 しかし、このあとV-FET使用の完全対象アンプが発表されることはなかったの です。 こういうわけで、これを具体的に実現された方は殆どおられないので はないでしょうか。 さて、基本回路は紹介されているものの、具体的に実現するとなると色々考慮 すべき事項はあります。 V-FETはゲート・ソース間にかなり深い負のバイアス電圧が必要ですから、Nチ ャネルのV-FETを使用する今回はファイナルステージのマイナス電源電圧より かなり大きな電圧のマイナス電源が必須です。 その意味で、No.158に見られ るような、ゲインを第一段目に集中するため電圧増幅段に±100Vの電源電圧を かけるという回路構成はV-FETを用いたDCアンプにも向いているといえます。 僕が以前作った完全自作設計のV-FETアンプの場合もやはり電圧増幅段の電源 電圧は±100Vとしたことが思いだされます。 但しこの時は市販の電源トラン スにこのような高電圧の巻線が無く、AC50V程度の巻線から倍電圧整流して作 り出したものです。 2SK82の特性がよく分からないので、同じソニーのV-FETである2SK60の特性か ら類推して、ゲート・ソース間のバイアス電圧を約10Vと仮定して回路図を書 いてみました。 2SK82の実際の特性についてはペアー選別を兼ねて正月休み に全数測定しましたのでその話はまた後で書くことにします。 完全対称回路によるゲート抵抗のドライブは二段目差動アンプの2SJ77(実際は 耐圧を考慮して2SJ78にしました)と電流吸込み用の定電流源2SK215のトーテム ポールとします。 これには2本シリーズで約150Vの電圧がかかりますから、 これらのMOS FETは30Wタイプとはいうものの基板上に配置するとすれば発熱量 からせいぜい10mAくらいの電流しか流せません。 それで、バイアス電圧を発 生するゲート・ソース間の抵抗は一応3.3kΩとおいてみました。 2SJ78から 供給する電流が約4.5mA、2SK215で吸込む電流が約8mAくらいになる計算です。 予定の出力は50W程度ですから発熱条件から見て、ファイナルステージをパラ レルプッシュプルにする必要はないのですが、V-FETの場合、ゲートのバイア スを+領域まで振ってゲート電流を流すという使い方をしない限り、Vgsが0V の場合のドレイン・ソース間電圧(トランジスタの場合のVcesatに相当します) がかなり大きくなって出力効率が悪くなります。 このVgs=0Vの時のVdsはId にほぼ比例しますから、今回は2本パラにして1本あたりのIdを少なくし、出力 効率を上げることにしました。 何しろ折角8ペアーも石を確保したことでも ありますから‥‥。 できることならファイナルステージの電源電圧を±50V 程度にしたいところですが、No.158の電源を共用する関係上、±37Vにしかな らないためです。 この場合8Ω負荷のときの出力は40〜50W程度と思われます。 ゲート抵抗を3.3kΩとしたとき、そのままV-FETのゲートをドライブするとす れば、ソニーの規格データではCiss=380pFですから、2本パラとしてRgとCiss によるカットオフが63.5khzとなってしまいます。 これでは広帯域性に対す る疑問と一段目の位相補正とのスタガー比がとれなくなるという問題が出てき てしまいます。 ひょっとすると位相補正はこのCissとゲートバイアス抵抗に よるもののみにするのがいいのかもしれませんが、この辺については後で実験 で決めることにします。 そういう訳で、一応今回はもう一段2SJ78のソースフォロアーを追加してV-FET をドライブすることとしました。 後で変更して実験するとしても部品を追加 するより外す方が簡単だという事情もあります。 但し、本来なら二段目のトーテムポールのMOS FET4本に大きな放熱器を取り付 けて充分電流を流し、ゲート抵抗を1/10の330Ωくらいにする事によってCiss の影響を逃れる方がエレガントで正統な金田式なのかもしれません。 以下続く、 2001年 1月 10日 (水) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作(3)00519/00519 HDC00112 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作(3) ( 9) 01/01/13 00:15 00510へのコメント ここで、まずソニーの2SK82について入手したデータをご紹介しておきましょ う。 そのデータとはソニーのSpecification Transistors, Diodeで、6/28/'76と作 成の日付が入っています。 A4で4ページからの資料です。 また社外秘の表 示があります。(もう時効だと思いますので、公表御容赦) 第一ページ目は概要と絶対最大定格についての記入があり、次のように記され ています。 そして#505でも書いたとおり、88.3.8付けでディスコン、'94.5.31 に廃品種のスタンプが押してあります。 ---------------------------------------------------------------------- 2SK82は選択酸化法を採用した縦型FETです。 ・電力増幅用FETで高入力インピーダンス低出力インピーダンスを持つ ・直線性の良い三極管特性を持つ ・良好なスイッチング特性を持つ なおコンプリメンタリィとして2SJ28と組み合わせて使用できます。 1. 構 造 Nチャネル 接合型 シリコン 電界効果トランジスタ 2. 用 途 電 力 増 幅 3. 外 形 TB-3 TC-3 (JEDEC TO-3) 4. 絶対最大定格 (Ta=25℃) 2SK82-3 ゲート・ドレイン間電圧 VDGO 240V ゲート・ソース間電圧 VSGO 45V ドレイン電流 ID 10A ゲート電流 IG 1A 許容電力損失 PT 95W 接合部温度 Tj 120℃ 保存温度 Tsτg -50〜+150℃ ---------------------------------------------------------------------- 次のページには以下のように電気的特性の表が載っています。 ---------------------------------------------------------------------- 5. 電気的特性 (Ta=25) 記号 条件 Min 標準 Max 単位 ドレイン・ゲート間 IDG01 VDG=100V,Is=0 0.1 100 μA 漏れ電流 ドレイン・ゲート間 IDG02 2SK82-1 VDG=240V,IS=0 1.0 mA 漏れ電流 2SK82-2 VDG=260V,IS=0 1.0 mA ゲート遮断電流 ISG0 VGS=40V, ID=0 0.1 100 μA ドレイン電流 IDSS* VDS=7V,VGS=0,τ=100ms 3.5 4.5 A カットオフ電圧 VF VDS=160V,ID=5mA 35 V 入力容量 Ciss VGS=-15V,VDS=0,f=1MHz 380 pF 電圧増幅率 μ VDS=20V,ID=2A,f=1KHz 4 出力抵抗 rD VDS=20V,ID=2A,f=1KHz 10 Ω 強度 ASO VCB=50V,τ=100ms 4 A 熱抵抗 θj-c 1 ℃/W (*AOPL 1%保証) ---------------------------------------------------------------------- 3ページ目にはIDSS(VDS-7V,VGS=0)の値とVon(ID=3.5A,VGS=0)の温度特性及び VDS=180VにおけるID=がカットオフ(ID=5mA)するゲートバイアス電圧Vpの温度 特性がグラフで示されています。 これによればIDSSはかなり大きな負の温度 係数を持っていて5.5A(Ta=0℃)から3.2A(Ta=120℃)までほぼ直線的な変化。 Vonは正の温度係数で3.5V(Ta=0℃)から8V(Ta=120℃)までほぼ直線的な変化し ています。 また、Vpについては0℃から120℃までほぼ35Vで一定しています。 (グラフは省略) 従ってV-FETのアンプは温度が上がるとVonが大きくなって最大出力が相当低く なることが分ります。 また、IDSSがかなり大きな負の温度係数を持つため、 完全対称アンプとしたときの温度補償は不要かとも思いますが、おまじないの 意味も込めて第二段差動増幅器の定電流負荷となって電流を吸い込んでいるト ーテムポール2SK215のソース抵抗の各々にSEPPの上下に対応したV-FETと熱結 合したサーミスタ(ソース抵抗560Ωとシリーズに200D5Aと330Ωのパラにした 温度検出素子を接続)を組み合わせた温度補償をすることとします。 興味深いのは当初2SK82-3のようにXの添字が付いて、VDG0とIDSSのランクを示 していたようですが、その後用途限定のためランク付けが廃止された経緯の書 込みがあります。 入手した素子にもそのような添字はありませんでした。 (実は2SK82の下にJE-33の表示がありこれがロット番号なのか添字なのかよく 分かりません) この規格を見ていると2SK82の用途はD級アンプのスイッチングが主で、240〜 260Vという高いドレイン電圧とトランジスターの様にキャリア蓄積効果のない 大電流スイッチングであったことが理解できます。 これは#513のM−NAO さんのレスを裏付けるものといえましょう。 もっともこのような素子を用い たにしてもCissが380pFもあるゲートを逆バイアスに30〜40Vもドライブするこ とはスイッチングといえども大変なことだったのではないかと推察されます。 また最初の概要にも書かれているとおり、素子の直線性も特長として記されて おり、UHC-MOSの場合と同じようにアナログアンプとしての用途にも向いてい るのではないかと期待できます。 次回に続く 2001年 1月 12日 (金) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作(4)00533/00533 HDC00112 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作(4) ( 9) 01/01/18 00:14 00510へのコメント 大体の回路図を完成して部品をテクニカルサンヨーに注文したのが、丁度去年 のクリスマスの日でした。 年内に部品を納入してもらって正月休みに組み上 げようというつもりだったのです。 ところが納入されてきた荷物の中にTF1210の放熱器が入っていません。 聞く とメーカから取り寄せのため1月15日頃まで納入できないとのこと。 No.158 のアンプはタカチのOS99-26-33BXだったのですが、これに組み合わせる放熱器 はフレックスのTF1208です。 ところが今回TO-3のV-FETをパラプッシュで使 用するとTF1208では高さが80mmでTO-3が二個つきません。 それでケースを OS115-26-33BX、放熱器を高さ100mmのTF1210として注文したのをテクニカルサ ンヨーでTF1208と勘違いして納期回答をしてしまったというのが真相のようで した。 それで、正月休みはじっくりプリント基板の配置設計とV-FETの特性測定に費 やすことにしました。 別に用意したTF1310A2の放熱器に2SK82を取り付け、No.158の電源を利用して V-FETの特性測定をしようというわけです。 SEPP下側のV-FETの動作条件と同 じになるようマイナス37VをV-FETのソースに接続します。 またゲートにはマ イナス100Vの電源から15kΩの抵抗を直列にRD36Fのツェナーで-37V-36V=-73V の電圧を作成し、これを50kΩB型のVRを用いて対ソース電圧が0V〜-36Vの範囲 で可変するようにゲートバイアス電圧をかけます。 普通なら-100Vから直接 VRでゲートバイアスを作成しても良いのですが、ゲート・ソース間電圧の絶対 最大定格が45Vとありますので、用心のためにツェナーダイオードで過大電圧 がかからないようにクランプしたのです。 また、まず最初にドレインにはA級動作を想定してV-FET一本当たりのロード抵 抗32Ωを介して0V(-37Vに接続したソースから見れば+37Vになります)に接続し ました。 今回はA級アンプにするつもりはなく、V-FET一本当たりのバイアス 電流を350mA程度とするB級に近いAB級動作とする予定ですから大出力の実際の ロードラインは一本当たり16Ωとなります。 但しテストであまり大電流を流 すのも憚られたので、様子を見る意味でAB級相当の32Ωとしたわけです。 ま た、次には100Ωを介して+37にドレインを接続してペア側V-FETが負荷に対し て電力供給している期間のカットオフ特性を図ることにしました。 32Ωのロ ード負荷をそのままにして計る方法もありますが、こうすると+37Vから0Vまで 負荷抵抗に電力消費させたとき、負荷抵抗とV-FETの各々が42W強の電力消費を することになり放熱面で心配です。 ロードラインを100ΩとすればVds=37Vの時にId=370mAとほぼ一本当たりのアイ ドリング・バイアス電流に等しくなるため、無信号時のゲートバイアス電圧が 推定でき、さらにペア側V-FETが電力供給中のカットオフ特性が分ります。 このようにして16本全部の2SK82の特性を測定しました。 結果はリニアリテ ィーに関しては期待よりはもう一歩という感じです。 また8ペアーのうち1ペ アーは同じ袋に入っていたとはいえ、とてもペアーとは呼べない代物でした。 丁度スペアで持っていた2SK60がワンペアありましたので同一条件で測定して みましたが、さすがにこちらはピッタリ揃ったペア性能を示し、リニアリティ ーも良好でオーディオAMP用とうたわれているのも伊達では無いという感じで す。 測定結果から見ると先に示したように2SK82のスペックシートにはD級アンプ用 V-FETとの表示があり、スイッチング特性を重視している感がします。 また、 2SK82の特性は総じて言うと、2SK60を1.5〜2本パラにした程度の電流特性とい えるでしょう。 16個のサンプルのうち測定値の高いものと低いもののサンプ ルを除外して中間の特性を示したサンプルを組み合わせて4ペアーをとること にしました。 この結果、Vds=37Vでアイドリング電流がd=370mAとなるゲート バイアス電圧は-11.0V〜-11.9Vの範囲に収まりました。 またVds=74Vでのピ ンチオフ電圧Vpは-18.5V〜-19.5V、RL=32Ωに対するVgs=0V時のVonは1.3〜 1.6Vとこれは予想よりかなり少ない値でした。 参考のために2SK60の同一条 件における値は、アイドリング時のバイアス電圧が-14.1〜-14.2V、カットオ フVgs電圧は-23.5〜-26.5V、Vonが2.4〜2.7Vとなりました。 このデータを見れば、ゲート電流を流さなくてもパラレルプッシュプル構成と したとき、終段の電源電圧36〜37Vからのロスは3V〜4V程となり、±33V程度の 出力電圧が期待できそうです。 この条件では最大出力は68W程度となります。 PS. 本日時点でまだ放熱器のTF1210は着荷していませんから、上記の経緯から 実際に組立てが完了できるのは15日以降、月末くらいまでかかりそうな気配で す。 完成したらまた報告いたします。 暫定的にホームページを作成して回路図を掲載しました。 http://homepage2.nifty.com/jack-morita/ 以下続く、 2001年 1月 13日 (土) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作(5)00536/00536 HDC00112 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作(5) ( 9) 01/01/22 00:47 00533へのコメント 金曜日にテクニカルサンヨーから最後の部品であった放熱器TF1210が届き、土 曜日は会社に出たため、今日組立てを再開。 今回試作したケースはNo.158に比べて15mm、放熱器は20mm高さが高いため No.158風に放熱器を取り付けるには放熱器の背が高くて当ってしまいます。 当る場所だけ選択的に放熱器を3〜4mm、金鋸でカットしました。 こういう金 物細工はどうも苦手で3Kそのものという気がします。 ギザギザになったりし て少し見栄えは良くないところもありますが、まあ機能的に問題ないのでこれ で行きましょう。 放熱器に傷を付けたときなど黒のマジックで塗ると目立た なくなります。 僕のような不器用な人はこうしてごまかすしかありません。 今日は放熱器の加工と取り付け、V-FETの取り付けまでで終わりました。 AMP 基板の片側CHだけは部品のマウントは終わっていて後は例の7本よりでの配線 だけです。 まあ音出しまであとまる一日というとろでしょうか。 今回の金田式は回路から部品の選択からシャーシーの構成はては配線の仕方ま で金田氏が実際に製作されたらこうされるであろうというポイントを逐一再現 (オリジナルがないのでこうは言わないかな?)しております。 多分来週、遅 くとも月末までには完成の報告が出きるのではないかと思います。 ご期待下 さい。 続く 2001年 1月 22日 (月) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作(6)00537/00537 HDC00112 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作(6) ( 9) 01/01/23 12:15 00536へのコメント 皆さんこんにちは。 諏柄 渤人です。 #533のV-FETで金田式を試作(4)で以下のようにホームページの回路図を紹介し ましたが、この回路図についてコメントを少し記します。 > 暫定的にホームページを作成して回路図を掲載しました。 > http://homepage2.nifty.com/jack-morita/ まず、一段目差動アンプについてはNo.158と変わりません。 二段目はV-FETのゲートに負のバイアス電圧を作成するための電流引き込み用 にTr8/Tr9による定電流負荷をトーテムポールの形で追加しました。 D5/D6の ツェナーダイオードは、95年12月号の6C33CBによるアンプで二段目FETの耐圧 不足をカバーするためにRD47Fが3本シリーズで使用されていた例を参考にして 追加しました。 今回は2SJ77/2SK215を使用すれば耐圧についてはあまり問題 になりませんが、終段の電源電圧と同じ電圧のツェナーを使用することにより Tr6/Tr7及びTr8/Tr9の差動動作をするFETの消費電力が等しくなることによっ て熱的な動作バランスが良くなることを期待したのです。 次段ソースフォロ アーのTr10のドレインに直列にD7を挿入したのも同様の意図です。 Tr10/Tr11はP-chのMOS-FETによるソースフォロアーです。 V-FETの逆バイア スを作り出すため回路図上少し見にくいですが、上側がソースになる様に書か れています。 この方法ではソースフォロアーのゲート入力がプラス側に大き くスイングしてもソースフォロアーのMOS-FETがカットオフしてしまうため V-FETにはゲート電流を流すような正のバイアスはかかりません。 真空管ア ンプでいうAB2級の動作にはならないわけで、V-FETのVonの電圧を少しでも小 さくする事により出力効率を上げたい場合には別の工夫が必要でしょう。 ソ ース抵抗は1.5kΩと少々大きな値ですが、FETを基板にマウントできる消費電 力とするためにこのようにしています。 V-FETのCissをドライブするソース フォロアーの出力インピーダンスは1/gmとなって低くはなりまますが、これは アンプのスルーレートの改善にはならないので、本来はちゃんとした放熱器を 付けてもっと低い抵抗にすべきでしょう。 V-FETのドライブ方法についてはこの他にも色々なアイデアがあると思います ので皆様のご意見をお知らせ下さい。 ファイナルステージはTr12/TR13とTr14/Tr15によるパラレルプッシュプルにし ています。 パラプッシュにするとパラスティック発振を起こしやすいため、 発振防止用にゲートにシリーズに680Ωを挿入します。 金田氏もUHC MOSの時 代の前、MOS-FETの時代にはパラプッシュで苦労され、2SK134/2SJ49等の場合 には620Ωを挿入されています。 この時330Ωではまだ不安定だったとの報告 もあります(94年9月号)。 680ΩではCissの380pFと決まるカットオフ周波数 が616kHzほどとなり、金田氏の提唱される広帯域性からは少し見劣りしますが まあ良しとしましょう。 パラレル動作のバランス改善のためにV-FETのソースに挿入した0.47Ωは、こ れもやはり金田氏のMOS FET時代2SK134/2SJ49の例では0.22ΩがMaxで、0.47Ω にすると歪率が増加して良くないとの記述があります。 V-FETはバイアス電 圧が深いためこの程度の抵抗を挿入しても電流帰還によるバランス改善効果は あまり期待できないこと、また今回は多数のサンプルからペア選別をしたこと もあってこのソース抵抗はない方が良さそうです。 音出しをしてペアの電流 測定したあとに外してみることにします。 あと一つ気になっていることは電源投入時と電源断時にV-FETにかかる過渡的 なバイアス電圧です。 V-FETはゼロバイアスでは過大なIdが流れますから電 源投入時には電圧増幅段の電源の方が終段より早く立ち上がる必要があります。 電源の平滑コンデンサーの値からこの条件は満たしていると思いますが、逆に 時間差がありすぎるとゲート・ソース間電圧の絶対最大定格-45Vを超えてしま うことが考えられます。 安全性を考慮してツェナーでRgの最大電圧をクラン プする等の対策が必要かもしれません。 但し余計なことをすると音を悪くす ることになりかねないため、今回は事前に手を打つことはやめて様子を見るこ とにします。 これがメーカ製のアンプの場合だと安全なことが証明されない 限りフェールセーフとなるように設計するのが常で、アマチュアとプロの違い だともいえます。 ウェブのカウンターを見ると30名弱の方がこの回路図をご覧になったようです が、コメントやご質問等があればレス頂けると嬉しいです。 続く 2001年 1月 23日 (火) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る RE^2:V-FETで金田式を試作(6)00539/00539 HDC00112 諏柄 渤人 RE^2:V-FETで金田式を試作(6) ( 9) 01/01/24 09:53 00538へのコメント M−NAOさん、こんにちは。 > V-FETの場合、この手の発振は考慮しなくても良かったのではなかった > でしたっけ? 数百Ωもの抵抗を入れなければならないのは、MOSのみ > だとばかり思っていたのですが・・・。 > > 最新オーディオDCアンプの作例では、K60/J18の3パラでも、シリー > ズ抵抗は皆無でしたし、今回のJ82よりCissの大きなK70/J20の実験回路で > も挿入されてないようでしたので・・・。 そういえば、最新オーディオDCアンプの例ではこの手のシリーズ抵抗は入って いませんでしたね。 パラスティック発振は寄生振動とも呼んでいる現象で、回路素子の局部的な不 安定さによって起こる発振でその原因はあまりよく分かっていない場合が多い のです。 昔、807等の真空管でアマチュア無線の送信機を自作していた時代 は円筒型のカーボン被膜抵抗の上にエナメル線を5〜7ターンほどコイルにして 巻いてグリッドやプレートに直列に挿入していたのを思いだします。 だから多分FETの場合でも同じように抵抗単体ではなく少し大きめの抵抗にコ イルを巻くという方法でも効果があるような気がします。 まあこの手のパラ 止めは半分おまじないみたいなもので無くてすめばそれに越したことはない訳 です。 回路基板の製作上あとから挿入するより入っているのをショートする 方が楽なので設計時には入れておきました。 6C33CBの前に作ったGOAタイプのアンプではファイナルはMOSFET(2SK134/2SJ49) のパラプッシュでしたが、この時は金田氏の製作例と同じ330Ωでは寄生振動 の「ジ・ジ・ジ・ジ‥‥」といういうような小さな発振音がとれず、680Ωま で抵抗値を増やした経験があります。 この時は電池駆動ではなくAC電源で、 またケースや部品配置もオリジナルから異なっていたためだと思いますが、寄 生振動とはその程度に不安定なものだというわけです。 V-FETは寄生振動の面ではかなり安定だというM−NAOさんのコメントはグ ッドニュースです。 完成後実験して問題なければ外すことにします。 貴重 な情報をありがとうございました。 2001年 1月 24日 (水) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作(7)00552/00552 HDC00112 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作(7) ( 9) 01/01/31 03:16 00539へのコメント まずは第一報。 このV-FETアンプが一応当初の回路で完成しました。 実は28日の日曜日に一応組立て完了して調整を始めたのですが、調整中に回路 をショートさせてしまい、片チャネルの2SK82をワンペアーお釈迦にしてしま いました。 僕にとっては初めての調整中の事故で少し落ち込んでしまいまし た。 もう一方のチャネルは正常動作していたので回路設計にミスがなかった ことは確認できたもののやはりこういう事態はショックです。 本日、若松通商に出向いて片チャネルの半導体を全てスペアー調達し、それぞ れのデバイスを隔離しながら不良個所を特定しました。 結局壊れていたのは マイナス側のV-FETが2個のみで壊れたのは+36Vが出力にショートしていたため と判明しました。 今回の経験で、金田アンプはやはり入力から出力まで全て のデバイスが直流結合されているため事故発生時の対策が難しいことを身をも って体験することになってしまいました。 今回はファイナルの電源に1Aのフ ューズを入れて調整したのですが、結局これがあだとなって事故を起こしてし まったようです。 結果的には余計なことをせず己を信じて調整を始める方が 良かったような気がします。 閑話休題。 それで一応今日完成させることができました。 まだ特性を計っ た訳でもなくエージングも済んでないこととはいえ、音出しした結果を第一報。 僕の事前の予測とは異なって、出てくる音はUHC MOSと比べてソフトと言うよ りは硬質な感じ。 ただ五島みどりの「アンコール」を聴いてみた限りでは UHC MOSに比べて一段とヴァイオリンの音の密度が濃くなったような感じです。 あと残留雑音(ハム)が少し多いようです。 まあ、V-FETは3極管特性のためフ ァイナルの電圧に乗るハムが出力されるのはやむを得ないことでしょう。 鑑賞に堪えないほどの残留雑音ではないので一応これで様子を見てみることに します。 Vn弾きのカミさん曰く、Vnの音は楽器のグレードが一段上がったよ うに聞こえると‥‥。 ただ、こういう硬質な感じはパラプッシュの特性の差が顕われているのではな いかと思ったりしています。 あとソース抵抗とかゲートのパラスティック発 振止めとかの影響もあるのかもしれません。 もうしばらく試行錯誤してみる 必要があるようです。 多分、続く。 2001年 1月 31日 (水) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作(8)00559/00559 HDC00112 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作(8) ( 9) 01/02/04 18:08 00552へのコメント 完成してからの第二報。 実は僕は2月1日付けで大阪に転勤になって、製作してから今日までAMPから遠 ざかっていたのです。 一昨日大阪から帰宅して、早速音出しをしてみました。 もう一度調整をし直して、左右ともアイドリングの平均電流/(1石当たり)を約 350mAにしてまずはサブシステム(CDプレーヤ:KENWOOD DPF-7002, プリアンプ: 自作FET/TrDCプリ、スピーカ:JBL L46>LE8T+2.5cmドームSP>)で試聴してみま した。 ヴァイオリンのソロ、String Qualtet、そしてオケ(春の祭典)と聞いてみまし た。 まず気が付いたことは少しTO-3ケースの缶(2SK82のケースは磁石がくっ つきます)の音というか、Vnでいうとある音域に少し耳に付く固有音がついて しまうような感じがします。 但し完全対称型アンプの特長である端正なクリ アさは共通のものです。 オケ(春の祭典; オスロフィルのと昨年自分のオケ で弾いた分)は音色・音の解像度ともまずは文句無しです。 あと低〜中域用のスピーカに耳を近づけて聞くと少しプーンと言うハム音がし ます。 UHC MOSのアンプよりは10dBくらい残留雑音が多い感じ。 そして電 源をONにしたときにスピーカからポンというショックノイズが出ます。 UHC MOSの場合はゼロバイアスの時、ファイナルのアイドリング電流はOffです からショックノイズは出ないのですが、V-FETの場合は電源ONの時ゼロバイア スでファイナルに電流が流れてしまうため、電源投入時にショックノイズが出 るのは仕方がないのかもしれません。 翌日にはリビングのメインシステム(プレーヤ:DENON DVD-3300 +若松通商 FD-350アッテネータ,スピーカ:Technics SB-M500)で真空管6C33CB(No.140), UHC MOS(No.158)そして今回のV-FETを鳴き合わせてみました。 こちらの方が音に色付けは少ない感じです。 また6C33CBとの共通性を強く感 じます。 残留雑音は6C33CBの方が少ないです。 またカミさんは6C33CBの方 が明るい音だと言います。 空気感も6C33CBの方があるようです。 これに比 べてUHC MOSは一番ナチュラルな感じ。 アンプの存在を感じさせません。 カミさん(ヴァイオリン教師)曰わく「はっきりしていて一番勉強になる」と。 ヴァイオリンの音を聞くと真空管やV-FETのアンプはいい音なんだけど、ハイ エンド・オーディオにありがちな「むせび泣くような」と表現される繊細な感 じが少し過度に演出された再生芸術の要素が感じられるようです。 総じて言えば特にV-FETに優位性は感じません。 V-FETにノスタルジーは感じ るものの実力はUHC MOSの方が上と思います。 ただそう言いつつ、やはりリ ビングのメインシステムには6C33CBを選んでしまうのは僕もオーディオマニア なんだなと思います。 やはりUHC MOSはヴァイオリンのレッスン室向きかな。 MOSが出る前の1970年代、3極管特性を有する半導体としてデビューしたものの、 その使いにくさと出力効率の悪さから、はかなく消えていったV-FET、今回こ れを最新の金田式プラットフォームに登場させて正当な評価をしてみようと始 めた企画ですが、今のところ後進のMOS FETを超えるものではなさそうです。 今後パラスティック発振止めのゲート抵抗をなくしてみる、ソース抵抗も外す、 パラプッシュをやめてシングルプッシュプルにしてみる、などの対策で効果が あればまた報告します。 V-FETが現在のUHC MOSより実力があるのかどうかも う少し納得行くまで調べてみる必要がありそうです。 デジカメがアベイラブルになれば、写真等もWebに送ることにします。 諏柄 渤人(2月3日)最初に戻る RE^2:V-FETで金田式を試作(8)00562/00563 HDC00112 諏柄 渤人 RE^2:V-FETで金田式を試作(8) ( 9) 01/02/06 21:18 00561へのコメント Yukkeさん、こんばんは。 > ところで、もしかして私と諏柄 渤人さんとは同年代かも? > 私は昭和20年代半ばの生まれですが。 僕は昭和20年代の前半になります。 いわゆる団塊の世代というヤツです。 単身赴任で大阪転勤なんですが、今日はまだホテルに泊っています。 そう言 うわけで音は出せません。 あのアンプを持ってくるとすればもう一台電源を組まなきゃ行けない?! アン プ3台も駆動できなくていいから、もう少し軽い電源用トランスをテクニカル サンヨーに巻いてもらわなくちゃいけないかな。 2001年 2月 6日 (火) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作(9)00563/00563 HDC00112 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作(9) ( 9) 01/02/06 21:18 00559へのコメント 昨日、月曜日でしたが明日からまた大阪なので少し会社から早く帰ってきて、 パラ止めの抵抗を外すこととV-FETのソース抵抗0.47Ωを外す実験をしてみま した。 まず、V-FETのゲートに入っている680Ωのパラ止め抵抗を外して(ショートし て)みました。 すると何たることか、プーンというハム音がかなり強くなり ました。 このプーンという音はひょっとするとしハムではなく電源リップル に同期して局部的に顕われる寄生(パラスティック)発振ではないかと疑われま す。 家にオシロが無いので波形観測はできませんでしたがその可能性は高そ うです。 その後CDを一枚聞いて温度が上昇すると、そのプーンという音が小 さくなります。 これでは益々その兆候が大きいといわざるを得ません。 それで今度はパラ止めの抵抗値を1kΩに増やしてみました。 やはりプーンと いう音はしますが、680Ωの時より少し小さくなった様な感じがします。 そ の差といっても多分気のせいという程度でしかありませんが‥‥。 それで今 は一応1kΩにしてあります。 あと、V-FETのソース抵抗0.47Ωを外してみました。 これは効果大です。 ヴェールを一枚めくったような感じでずっとクリアーになりました。 といっ てももうこの時になると、バーボン(ジャック・ダニエル)で相当酔っぱらって おり、冷静に比較視聴できる状況ではなく、この報告はまた来週にするしかあ りません。 金田氏もいつか0.47Ωでは歪が多くてダメであると書いておられ ましたが、ひょっとすると素子の善し悪しよりもこの抵抗による音の劣化の方 が大きいのかもしれません。 そう言うわけで、冷静な話はまた来週です。 続く。 2001年 2月 6日 (火) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る RE^2:V-FETで金田式を試作(9)00570/00570 HDC00112 諏柄 渤人 RE^2:V-FETで金田式を試作(9) ( 9) 01/02/10 16:34 00566へのコメント 福井さん、初めまして。 貴重なレスを有り難うございます。 > ご存知と思いますが、発信止めに入れるRは出力素子に > 近いほど効果的です。FETの足に直接半田付けするのが > 一番良く効きます。配線引き回しが適切なら、通常は > 数百Ωで用が足りるはずです。500Ω以上としても > 直らない場合は、別の対策が必要となります。 そうですね。 この頃は腕ももう鈍っていて、その辺のことは忘れていたよう です。 今基板に付けているススムのRE55Fタイプは四角でフラットなタイプなので、 FETの足に直接ハンダ付けしにくそうですが、筒型のカーボン皮膜抵抗にして やってみることにします。 あるいは真空管の時のようにこの抵抗にコイルを 巻いてみるのもいいかもしれません。 > 私には、ゲートを正側に振らない様にソースフォロア > で塞き止めた事が、逆に寄生発振の原因になっている様 > に思えてならないのですが。V−FETマニアの知人に > も確認してみましたが、どう考えてもV−FET > のゲートに発振止めRが必要だとは考え難いです。 前にも書いたようにこのソースフォロワーの狙いはCissによる高域のドロップ を防止することで、ゲートを正に振らない様にということではなかったのです。 でも理由はとにかく、僕もこのソースフォロワーが気になっていて最初から気 持ち悪かったのです。 どう見てもエレガントとは言えない回路構成ですよね。 この三連休を利用してソースフォロワー撤去をトライしてみようと思います。 結果が出たらまた報告します。 結局シンプル・イズ・ザ・ベストということになりそうですね。 2001年 2月 10日 (土) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作(10)00571/00571 HDC00112 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作(10) ( 9) 01/02/11 16:14 00570へのコメント #570でこう書きました。 > この三連休を利用してソースフォロワー撤去をトライしてみようと思います。 > 結果が出たらまた報告します。 2SJ78のソースフォロワーをまず外してみました。 この時0.47ΩのV-FETのソ ース抵抗は無し、またゲートにシリーズに入っている1kΩのパラ止めも無しの 状態です。 まず、スピーカを繋がないで8Ωのダミーロードで電流調整を始めたら片側 700mAのアイドル電流の予定が2倍ほど電流が流れています。 おかしいなと思 って両側の放熱器の温度上昇が心配になって手で放熱器を触ってみると、あ〜 ら不思議。 電流がすーっと減るではありませんか。 これは典型的な寄生発振の症状です。 福井さんは以下のように書いておられ ますが‥‥。 > > 私には、ゲートを正側に振らない様にソースフォロア > > で塞き止めた事が、逆に寄生発振の原因になっている様 > > に思えてならないのですが。V−FETマニアの知人に > > も確認してみましたが、どう考えてもV−FET > > のゲートに発振止めRが必要だとは考え難いです。 ソースフォロワーを外し、ソースの電流帰還抵抗とゲートのパラ止めを外した いわばスケルトンの状態で、寄生振動が起きてしまいます。 それでソースフ ォロワーだけ外し、ゲートのパラ止めとソースの0.47Ωを復活させて一応正常 動作しております。 部品配置とかまあ条件は色々あるのでしょうが、V-FETには発振止めのRが不必 要だということにはならないようです(少なくとも2SK82の場合)。 ゲートの発振止め抵抗は500Ω以上にしても無意味だとのコメントも頂いてい ますが、前からの経緯で今は一応1kΩになっています。 あと、電源をOnした後温度が上昇するに従って少しハム音が減るという現象は 同じように存在します。 電流が不安定に増加したりはしないので寄生振動と は断定できませんが、これから見てもまだ少し不安定要因が残っているようで す。 ソースの0.47Ωも外してみないと音については云々できないと思いますが、ソ ースフォロワー有りの時に比べると、出てくる音は余計な味付けが減ってすっ きりしたような気がします。 このNo.158の電源はテクニカルサンヨーの巨大なトランスが付いているわけで すが、実はこれが少しうなるのです。 ハム音といっていますが、スピーカに 耳を近づけて聞こえるプーンというノイズの音量より実はこのトランスが鳴る 音の方が耳障りだったりして、先にこのトランスの防振対策をする事にします。 現状の回路図をホームページにアップしておきましたのでご参照下さい。 http://homepage2.nifty.com/jack-morita/ 2001年 2月 11日 (日) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る RE^2:V-FETで金田式を試作(10)00574/00574 HDC00112 諏柄 渤人 RE^2:V-FETで金田式を試作(10) ( 9) 01/02/11 18:58 00572へのコメント レス拝見しました。 ソースフォロワーはこれまでの金田式のように電源端か らかけるというのがやはり正解なんでしょうね。 それから寄生振動のメカニ ズムとゲート・ソース間抵抗でのQダンプの効果についての解説、大変勉強に なりました。 それとホームページの設定ですがニフティーの「さくさく作成君」で作ったの ですが最後の転送を忘れていました。 今は正常に表示されていますのでご確 認下さい。 これからも宜しくお願い致します。 2001年 2月 11日 (日) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作(11)00573/00573 HDC00112 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作(11) ( 9) 01/02/11 18:43 00571へのコメント サブシステムで12時間エージングした後、メインシステムに持ってきて今聴い ています。 かけているのは五島みどりのアンコール(SRCR 9055)。 ヴァイオリニストの娘が来て「上手ね、これ誰?」と訊いたのが6C33CBの音。 それで同じ曲をV-FETにして聴き比べてもらいました。 僕が聴いているとど ちらも等質の音がします。 少しV-FETの方がクリアーというか鋭いかなとい う感じ。 娘がいうには雰囲気が違うと。 V-FETもいいんだけど、こちらは 普通に上手。 ところが6C33CBの方は風格が違うと。 この状態ではハムの音もほぼ同等です。 実用的には全く問題ありません。 ゲートの発振止めの抵抗値が少し大きいとか、ソース抵抗0.47Ωは無くてもい いかなどまだ多少の課題は残っているもののこれで一応完成ということにしま しょう。 少なくとも、真空管とUHC MOSに比べて遜色ないところまで追い込 めたようですから。 僕の感想では一番クリアーなのがV-FET。 雰囲気で6C33CB、ソフトなリアル さでUHC MOSというところでしょうか。 - 完 - 2001年 2月 11日 (日) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る RE^2:V-FETで金田式を試作(11)00579/00579 HDC00112 諏柄 渤人 RE^2:V-FETで金田式を試作(11) ( 9) 01/02/12 15:56 00576へのコメント Λコンさん、こんにちは。 結局Λコンさんの発表された2SJ18による完全対称回路のアンプとの本質的な 差異はV-FETの極性が異なるだけという結果になってしまいました。 もちろん初段差動アンプの電源電圧を高くして初段でゲインを稼ぐ、二段目差 動アンプにリニアリティーのいい2SJ72が入手できなくなったため、あまりリ ニアリティーの良くないドライバー用MOSに電流帰還をかけて使用する等最近 の金田式の特長になっているマイナーな差を除けばという話ですが。 それと多分ファイナルをパラレルにしたという点が寄生振動を誘発してシンプ ルなエレガントさを失うことになってしまった感がします。 2SK82は単体で 比較しても2SK60の1.5〜2倍の電流駆動能力があるわけですから、はじめから シンプルにシングルにしておけば良かったと反省しています。 まさに欲張って己の策に溺れるの図ですね。 昨日は、電源トランスの防振対策を行いました。 10mm厚の合成ゴム製制振パ ッドを電源トランスとシャーシとの間に挟んで取り付けたのです。 これは効 果がありました。 ほとんど電源部の鳴きは止まったし、おまけに心持ちスピ ーカからのハム音も減ったようです。 マイクロフォニックの影響でもあった のでしょうか。 あとエージングの効果も出て現状では6C33CBの残留雑音と比 較できる程度になりました。 > バイオリンの再生は真空管アンプが最も得意とするところなので、V−FET > といえどもかなうはずはないでしょう。 そう言う聴き方をしたことはなかったのですが、自分も弾く弦楽器の音が一番 よくわかることと、この五島みどりの「アンコール」が僕がアンプづくりを復 活した93年以来、全てのアンプの試聴時の基準になっているからでもあります。 > V−FETの特徴を探るには私の場合ふわっとしたエコー感が感じられるので、 > 女声ボーカルか、モーツアルトの室内楽などを試します。J18の完全対称では > 風が吹きぬけるような軽さが感じられます。 それで思いだして、バシュメットのヴィオラとラリッサ・ディァトゥコーヴァ のメゾソプラノでブラームスの「2つの歌」を掛けてみました。 ヴィオラは 僕の好きな今井信子の「シャコンヌ」ともども非常にいいです。 あとモーツ アルトの弦楽トリオKv.563を今聴いています。 聴いているうちにだんだんこのアンプが好きになってきました。 転勤先の大 阪に持っていくのはこれにしようかUHC MOSにしようか迷いそうです。 PS. ホームページに写真を載せようと、3年前のキヤノンのPowerShot 30/30T というPCMCIAインターフェースのカメラを取り出してトライしたのですが、OS がWindows98になってうまく動作しません。 この出費の嵩む折とてもデジカ メまでは手が廻らないので写真はまたの機会ということでお願いします。 2001年 2月 12日 (月) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作(12)00586/00586 HDC00112 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作(12) ( 9) 01/02/18 01:02 00573へのコメント 会社からデジカメを借りてきて撮影しました。 http://homepage2.nifty.com/jack-morita/ に載せておきますのでご覧になって下さい。 最初にハム音が大きく、暖まったあとで小さくなる件はどうやらサーミスタに よる温度補償が過補償になっているためのようです。 サーミスタは200DA2を 使っていますが、これとパラに330Ωとあとシリーズに560Ωをトーテムポール 定電流源吸い込み側のソース抵抗にしているわけです。 しかしこれだと電源 投入直後には安定時アイドリング電流350mAの2倍以上流れてしまいます。 パラの抵抗を半分以下にして調整し直した方が良さそうです。 また、基板の写真で空き地が二カ所できているのはV-FETをドライブするソー スフォロワーを外したあとです。 写真をご覧頂頂いた方には、このアンプが部品や構造など全ての面で金田氏の テーストを忠実にトレースしていることがご理解いただけると思います。 PS. 今日は青葉台のフィリアホールに今井信子さんのヴィオラによるバッハの 無伴奏チェロ組曲(2,4,6番)の演奏会に行って来ました。 今井さんの生は初 めてだったのですが、信じられないような素敵な音でした。 まだまだ僕のア ンプづくりの未熟さを想い知らさせた感じです。 でも抱いているイメージは 間違っていないことに改めて確信した次第です。 2001年 2月 17日 (土) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作(13)00641/00641 HDC00112 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作(13) ( 9) 01/02/27 18:35 00586へのコメント みなさん、こんにちは。 諏柄 渤人です。 2月11日には#573のシリーズ(11)で一応アンプづくりは「- 完 -」と書いたの ですが、どうも音が硬いしハム音がまだ耳について自分として納得できないで しました。 シリーズ(12)では写真を紹介したんですが、次のように書いています。 > 最初にハム音が大きく、暖まったあとで小さくなる件はどうやらサーミスタに > よる温度補償が過補償になっているためのようです。 サーミスタは200DA2を > 使っていますが、これとパラに330Ωとあとシリーズに560Ωをトーテムポール > 定電流源吸い込み側のソース抵抗にしているわけです。 しかしこれだと電源 > 投入直後には安定時アイドリング電流350mAの2倍以上流れてしまいます。 > > パラの抵抗を半分以下にして調整し直した方が良さそうです。 それでまず、サーミスタとパラの330Ωを100Ωに変更しました。 また、2月23日には#612でこう書きました。 > これまでの流れからするとFETの2SJ77とかでもいいと思うんですが、金田氏が > 石にこだわるんだとするとこの前僕の作ったV-FETのセカンドステージも考え > 直した方がいいのかもしれませんね。 6C33CBとの音の差はこの辺にありそう > で、リニアリティーを考慮すれば虎の子のストックがある2SJ72のカスコード > にして見ようかななどとも考えています。 ということで、この週末から昨日にかけてセカンドステージのトーテムポール 型差動アンプをJFETの2SJ72を使った構成としてこれまでの2SJ78を増幅用では なくカスコード段として用いる回路に修正しました。 これで6C33CBの回路に一歩近づいたわけです。 また2SJ78を増幅段としてい たときにはソースに1.5kΩを入れて負荷抵抗3.3kΩから見ると強力な電流帰還 をかけ、この段の増幅率を6dB程度と非常に低く抑えていたのがオリジナル回 路でした。 今回これを変更してソース抵抗を150Ωにして増幅率を20dBほど 増やしてみました。 6C33CBの回路ではソース抵抗はなく電流帰還はかけていないわけですが、今回 は初段の増幅率が大きいので2段目に局部電流帰還をかけてオープンループゲ インが大きくなりすぎないようにしたのです。 この変更による効果は絶大で、ハム音はスピーカに耳を近づけて聞いてもほと んど聞こえないし、音もあの硬さがとれたような気がします。 NFBを20dB増 やすとノイズは20dB減るというのは当たり前の話ですが、これほど変わるのを 実感するとやはり新鮮な驚きがあります。 最近の金田アンプはNFBは20〜 30dB程度ですから、今回このアンプで40dB近くNFBをかけるというのは本来の 金田流ではないかもしれませんからあと10dBほど落としても良いのかもしれま せん。 あとパラ止めの1kΩも当初の680Ω(これでも大きすぎるようですが)に戻して います。 これらの変更をした回路図をまたホームページにアップしますので 見てください。 http://homepage2.nifty.com/jack-morita/ 完成したのが昨日の深夜でしたので、まだ例の五島みどりの「アンコール」と 川畠成道の「アヴェ・マリア」しか聴いていません。 ただこの2曲だけから の印象をいえばそこで弾いているような息遣いがこれまで以上に感じられます。 また音はいいとか悪いとかいうよりその切れ味の鋭さに圧倒されるような感じ です。 これでやっとV-FETを6C33CB、UHC MOSと同列において比較できるよう になった気がします。 音についてはもう少し聞き込んでからまた報告します。 2001年 2月 27日 (火) 諏柄 渤人 (スガラボット) @また大阪で暫くお預け最初に戻る RE:V-FETで金田式を試作(13)00646/00648 HDC00112 諏柄 渤人 RE:V-FETで金田式を試作(13) ( 9) 01/03/03 06:06 00641へのコメント みなさん、こんばんは。 諏柄 渤人です。 今日、一週間ぶりに、この二度目の改良をしたV-FET金田式アンプの音を聴い てみました。 川畠成道と五島みどりのヴァイオリンを聴いている限りでは、先の発言では息 遣いといいましたが、何というか演奏の臨場感が迫ってきます。 この感覚は 6C33CBやUHC MOSに比べても圧倒的な迫力です。 本当に演奏者がそこでヴァ イオリンを弾いていて、どこでブレス(息継ぎ)をしたか逐一伝わってきます。 これはヴァイオリン弾きには大変勉強になります。 あと、弓が弦にどのように圧力を与えたか、あるいはいつ弦から離れるように 弾いたかの空気感が凄くリアルに伝わります。 この辺の再現性は真空管や MOSには及ぶべくもありません。 ただし例えば少し古いCDに録音されたオケや、少し前のアナログLPをかけた場 合の音の破綻は聴くに堪えないものがあります。 キズやアラを容赦なく表現 するのです。 いい録音のソースを鑑賞するのはいいのですが、どれを聴いて も大過なくというわけにはいきません。 多分、このアンプを製品化した場合、商業的には問題がありそうです。 但し、 この切れ味の鋭さというか空気感は他の追随を許さないものがあります。 半分自己満足かもしれませんが、V-FETの存在意義を再評価する契機になった のではないかと思います。 皆様のご意見をお伺いできれば幸です。 2001年 3月 2日 (金) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る RE^2:V-FETで金田式を試作(13)00656/00656 HDC00112 諏柄 渤人 RE^2:V-FETで金田式を試作(13) ( 9) 01/03/05 03:21 RE:648 今日、以前製作したV-FETの2SK60/2SK18ドレインフォロワー型DCアンプを引っ 張り出してきて比較試聴してみました。 その結果感じたのは紛れもない同じ ルーツの音です。 No.158を製作してからこのアンプはお蔵入りしていたのですが、その後購入し た新しいCDプレーヤと組み合わせて聴いたことが無くてどうも不当評価してい たようです。 音色はほとんど等質でかつこちらの方が少し柔らかい感じです が、25年前にこのような音が実現されていたことに改めて新鮮な驚きを感じま す(自画自賛ではないですが)。 やはりアンプの出力はプレート/コレクタ/ド レインから出すのが本質ではないかと最確認した次第です。 それでこの以前のアンプを我が家のサブシステムにして、新規製作分を赴任先 に持っていくことにしました。 これと組み合わせる小型のスピーカを早く探 さなきゃ。 2001年 3月 5日 (月) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る V-FETで金田式を試作 -その後(1)-01254/01254 GBH00150 諏柄 渤人 V-FETで金田式を試作 -その後(1)- ( 9) 02/08/29 16:21 00656へのコメント はんだごての皆さん、お久しぶりです。 ビオラ弾きの諏柄 渤人です。一年経ってこのV-FET・2SK82による金田式完全 対称アンプを再度見直してみました。 まず、この春には昨年MJの12月号で「HiFI追求リスニングルームの夢」に登場 されたショットキバリアダイオード(SBD)の元祖、出川さんの薦めもあって電 源の整流ダイオードをアンプからプレーヤまで全てSBD化しました。 そしてこの夏休みには、オーディオアンプづくりの三種の神器、CRオシレータ、 オシロ、歪率計をそろえたのを機会に、特性確認をして一部の回路常数を修正 したりしました。 この辺の経緯については近々MJで発表できればと思っておりますが、最新の回 路図と特性をホームページにアップしましたのでご紹介させて頂きます。URL は: http://homepage3.nifty.com/Sugarabotto/index.html となります。以前使用していたURLはNiftyのアカウントを整理したため消滅し てしまいましたので、この度上記のURLでリニューアルいたしました。 このフォーラムでのIDも以前と異なっておりますのでよろしくお願いします。 また、追々書き込みさせて頂きます。 ではでは。 2002年 8月 29日 (木) 諏柄 渤人 (スガラボット)最初に戻る RE:V-FETで金田式を試作 -その後(1)-01260/01260 GBH00150 諏柄 渤人 RE:V-FETで金田式を試作 -その後(1)- ( 9) 02/09/01 11:57 01254へのコメント はんだごての皆さん、こんにちは。 諏柄 渤人です。 先日僕のホームページのリニューアルをお知らせしましたが、回路図と写真だ けでなく、このフォーラムでの過去の僕の発言も今回アップしましたのでご参 考までに見て頂ければ幸いです。URLは次の通りです。 http://homepage3.nifty.com/Sugarabotto/index.html 今回、20数年前に自作した4段直結のV-FET(2SK60/2SJ18パラPP)アンプの特性 なども測定しましたのでその辺の情報も追々アップしていきたいと思います。 それでは。 2002年 9月 1日 (日) 諏柄 渤人 (スガラボット) 最初に戻る RE^2:V-FETで金田式を試作 -その後(1)-01262/01262 GBH00150 諏柄 渤人 RE^2:V-FETで金田式を試作 -その後(1)- ( 9) 02/09/01 16:24 01257へのコメント 化美音曲さん、こんにちは。 諏柄 渤人です。 > ドライバ段を削除されたんですね。 > V-FETは入力容量が大きいのでドライバ欲しくなるんです。 > なかなかいい方法が思い浮かばなくて、諏柄さんの方法を期待して > いたんですが、いかがだったでしょうか? そうなんです。 前に#510「V-FETで金田式を試作(2)」で > ゲート抵抗を3.3kΩとしたとき、そのままV-FETのゲートをドライブするとす > れば、ソニーの規格データではCiss=380pFですから、2本パラとしてRgとCiss > によるカットオフが63.5khzとなってしまいます。 と書きましたが、これが心配で当初は2SJ78によるソースフォロワードライブ を入れていたのです (オリジナルの回路図参照)。ところが出来上がってみる と、やはり2本のV-FETをパラにドライブすると危惧していた通り寄生振動を起 こしたり、起こさなかったりという不安定さで、音も硬いので外してしまいま した。(既報の通り) それで、今回測定器をそろえたのを機会にNFBを外してオープンループの周波 数特性を測定したら、何と3dBカットオフが12kHzという結果になってしまいま した。23dB程のNFBをかけたあとのf特は3dBカットオフが約60kHzです。 この結果から推定すると、2SK82の場合CissよりもCrssがかなり影響している と考えられます。 カットオフ周波数 = 1/2πRg(Ciss‖μCrss) ですから、2SK82パラレル動作の終段のμが4程度だとするとRg=3.3kΩのとき (Ciss‖μCrss)が4000pほどもあるようです。これから一本当たりCrss=405pと 計算されますから、ほぼCissと同じ値のCrssを想定する必要があるようです。 これでは、最近の広帯域を特徴とした金田アンプからは随分傾向が変わってく るため、やはりV-FETのゲートを低インピーダンスドライブする方法は真剣に 考慮する必要がありそうです。 MOSFETドライバJ78によるソースフォロワーが不安定なら、前に独自設計した 2SK60/2SJ18で使用した2SA607によるPNPトランジスタのエミッタフォロワー・ ドライブが良いのではないかと思い、回路図を書いて部品も揃えました。但し 現状60kHzカットオフのアンプでも音質的な不満は全く感じておりませんので 改造するのは暫く経ってからにしたいと思います。 ところで件の2SK60/J18の4段直結アンプですが、これの歪率を測ったところ Leftチャネルが0.2W〜0.5W〜1W付近の歪率が0.004%〜0.005%という低歪率で作 った本人がビックリしてしまいました。もう20数年前の作品で回路図を探して も出てこないため今は発表できないのですが、そのうち現物から回路図を復元 できたらご紹介したいと思います。 ではまた。 2002年 9月 1日 (日) 諏柄 渤人 (スガラボット) 最初に戻る RE^8:V-FETで金田式を試作 -その後(1)-01273/01273 GBH00150 諏柄 渤人 RE^8:V-FETで金田式を試作 -その後(1)- ( 9) 02/09/02 17:05 01267へのコメント SUB:RE^7:V-FETで金田式を試作 -その後(1)- RE:1267 化美音曲さん、M−NAOさん、kontonさん、こんにちは。 諏柄 渤人です。あっという間にチェーンが増殖してしまいましたのでまとコ メで失礼いたします。 kontonさんのYAMAHA B-1の回路図と次の完全対称のイメージを見せて頂きまし た。有り難うございます。 B-1の回路図は初めて見ました。話には聴いていましたが完全対称型の元祖。 素晴らしいものですね。 > B−1の終段ドライブ回路、私もこれを生かしたV-FETアンプは出来ないかな〜 > と途中まで考えたイメージがあります。 > http://www.sm.rim.or.jp/~konton/V-FET-3.gif これもなかなかの力作と思いました。初段をPチャネルのFETで受けるのは二段 目にV-FETの2SK79を持ってくるためのこだわりと拝察いたしました。是非実現 して頂きたいです。何ならこれまでに集めた2SK60をお譲りしますがいかがで すか。 僕も2SK79によるソースフォロワーは考えてみたのですが、上側の出力がフロ ーティングになる方の電流供給をどうするかで妙案が無く、Nチャネルは諦め て、PチャネルのV-FETでもあればな〜なんて思っていたところでした。 なるほどここで、あの完全対称アンプ二段目の定電流源手法をもう一度使う手 があるのですね。目から鱗でした。既に二段目でやっているのだからソースフ ォロワーだって同じじゃないかと、理屈はそうですが人の頭(スミマセン僕の 頭でした)というのは硬いものだなと改めて感じ入る次第です。M−NAOさ ん、kontonさん、そしてオリジナルのヤマハの技術者の皆さんに脱帽。 2SK79は持っているのですが、今の基板だとこの定電流源を入れるスペースが ないのでやるならサブ基板を作るんでしょうね。ただ、どうせソースフォロワ ーで低インピーダンスドライブするなら2SK79よりもう少し大きめの石があっ たらなあ〜とか高望みしても今となっては入手困難でしょうし‥‥。 思い立って、終段の2SK82パラレルのゲートの入力容量(Ciss‖μCrss)=4000p をドライブするのに必要な(スルーレートを決める)電流を計算してみました。 2SK82のゲートのバイアス電圧を仮に−10Vとすれば、フルスイングさせるため には−20V〜0Vまで振る必要があります。10μsec(100kHz)で立ち上げるだけで も: I = dQ/dt = C・dV/dt = 4×10E-9×20×10×10E-6 = 8 [mA] 必要です。多分これがギリギリ。高速アンプを謳うなら1μsecで立ち上げたい ので80mA。これはとても小出力の2SK79の手に負える範囲ではありません。 ソースフォロワーを定電流回路で受けるのならもう一度NチャネルのMOSもある かもしれない。それともNPNトランジスタのドライバーもありそうですね。 さてどうしようかな。先ずは最初に定電流源のいらないPNP? 2002年 9月 2日 (月) 諏柄 渤人 (スガラボット) 最初に戻る RE^12:V-FETで金田式を試作 -その後(1)-01282/01282 GBH00150 諏柄 渤人 RE^12:V-FETで金田式を試作 -その後(1)- ( 9) 02/09/04 18:27 01276へのコメント Rudy さん、M−NAOさん、こんにちは。諏柄 渤人です。 > 2SC 2SK(V) > +-------*-- +30V > C | > ----*---B | > | E | ↓ > | | | > | ZD D > R *-----G > | | S > +-----)-------*-----OUT OV > | > | > 定電流 > | > -100V > > 例えば、終段に必要なバイアスが-7Vとすると、ツェナーで7Vシフトし > ます。これで、Trのベース電位は正になりますので、普通にドライブでき > ます。(但し、終段のVをドライブするだけの振幅は要りますので、オープ 僕の場合は、二段目差動アンプをトーテムポール構成にして−100Vに電流を吸 い込む定電流源を入れています。差動アンプからの電流供給よりも定電流源へ の吸い込み電流の方が大きいので、その結果TrのベースはOUTに対して負にな ります。 M−NAOさんの回路はNo.168のように1997年頃に開発された吸い込み側の定 電流源を省略した超シンプル完全対称型でドライブする方法という意味ですね。 2SJ18をドライブするなら二段目電圧増幅団の電圧を高くして(+100VならOKの 筈です)二段目差動の動作点(例えばエミッタ電圧)を+70Vくらいに設定して終 段の電圧よりV-FETのバイアス電圧分だけ高いところでTrのエミッタフォロワ ーを動作させれば大丈夫です。 2SJ18を使った完全対称回路はΛコンさんが http://member.nifty.ne.jp/MUTSU/hp005.htm に発表されていますから、参照されると良いと思います。これにNPNのソース フォロワーを入れるのは簡単ですよね。 但し最近の金田アンプの主張である初段差動アンプでゲインを稼ぐためには電 圧増幅段の電源電圧は+50Vでは不足で最低+100Vは欲しいところでしょう。 このΛコンさんの回路と僕の2SKの回路を比べてみて面白いのは、V-FETの極性 が違うと二段目差動から終段へつなぐ接続が逆になるところですよね。うっか りこれを考慮しないと全然動作しないことになってしまいます。これは前にも 書いたことですが、皆さんもご注意下さい。 2002年 9月 4日 (水) 諏柄 渤人 (スガラボット) 最初に戻る RE^13:V-FETで金田式を試作 -その後(1)-01284/01284 GBH00150 諏柄 渤人 RE^13:V-FETで金田式を試作 -その後(1)- ( 9) 02/09/04 23:24 01277へのコメント konton さん、 諏柄 渤人です。 kontonさんのホームページを見せて頂きました。 完全対称アンプの終段上側をドライブする二段目増幅段の定電流ドライブする 出力インピーダンスの重要性についてよく理解できました。 No.168のフラットアンプの二段目増幅段をTr駆動に変更してそれが期待にそぐ わなかったため、カスコード接続に修正したときの > ややベタッと張り付いた感じのあった低音が素晴らしい弾力感を取り戻した。 > 艶っぽい表情も大変良くなった。 その効果が次の仮説を裏付ける反論の余地のない根拠になっているのがよく分 かりました。 > 完全対称型の要(カナメ)は、2段目上側の出力インピーダンスが終段上側の > 入力インピーダンスよりも十二分に高いこと。にある。と思うのだが、今回の > 設定は負荷となるボリューム設定が50KΩなのである。 > > 50KΩなら大したことはないのでは?、というと、終段上側、ひいては2段 > 目上側にとってそういうわけにはいかない。はず。終段下側の入力インピーダ > ンスは大体のところで終段のベース抵抗1.6KΩに等しく、よって低いもの > なのだが、終段上側の入力インピーダンスは、その1.6KΩではなくて、終 > 段の電流ブースター効果によって、負荷インピーダンス×終段電流ゲインとな > ってしまうので、この場合、50KΩ×2(A級PPだから)×30(終段の > 電流ゲイン、1.6KΩ/51Ωで概算値)=3MΩ!(最大値)と、低いど > ころか、もの凄く高いものになるのだ。 > > うーん、完全対称型の2段目は終段の上を担当するか下を担当するかで天地ほ > どもの違いがある。ということは置いておくとして、現実には、ボリューム最 > 大状態で使うということはほぼ無いし、出力に繋がる機器の入力インピーダン > スもパラに効くので、実質<3MΩとなるのだが、それにしても2段目上側の > 出力インピーダンスは大丈夫か?と思える数値なのである。 > > 2段目が終段に対して電流出力であるためには、2段目の出力インピーダンス > は終段の入力インピーダンスよりまあ1桁は高いものであって欲しいのではな > かろうか。そこでこの2段目設定。果たして電流帰還を掛ければ所要の出力イ > ンピーダンスが得られるものなのだろうか? 多分この世界は金田先生ご自身が門外不出にされているもの。 Kontonさんが 明らかにされる前はここまで明確にその奥義を究めた人はいないのではないか と‥‥。 僕のV-FETのアンプでも二段目増幅段をカスコードにしてから確実に音は良く なったし‥‥。 この状況ですとオリジナルのNo.158,UHCMOS G2の場合にも 二段目をカスコードにしてみる改造をしてみたくなってきました。 2002年 9月 4日 (水) 諏柄 渤人 (スガラボット) 最初に戻る RE^19:V-FETで金田式を試作 -その後(1)-01296/01296 GBH00150 諏柄 渤人 RE^19:V-FETで金田式を試作 -その後(1)- ( 9) 02/09/08 19:41 01273へのコメント Vなみなさま、こんにちは。 諏柄 渤人です。 > ソースフォロワーを定電流回路で受けるのならもう一度NチャネルのMOSもある > かもしれない。それともNPNトランジスタのドライバーもありそうですね。 前にこう書きましたが、当初の2SA607によるドライバーと、NチャネルMOSの 2SK175による定電流源負荷を用いたソースフォロワードライブの回路図を作成 しましたので一応ホームページにアップしておきます。 http://homepage3.nifty.com/Sugarabotto/sub06/sub06.html でもこの様に改造するかどうか、まだ決心がつかないでいます。 それと、このVなチェーンでの僕の発言もH.P.に追加したいと思います。 あと、トーキンのTKS45F323というSIT(SITは東北大学の西澤先生が開発された ときの名前だそうでV-FETも本来SITというべき?)によるOPT使用PPの60Wアンプ が以下のURLで紹介されています。 http://www.ne.jp/asahi/evo/amp/SIT/page1.htm この回路は初段差動アンプが2SK246G-Sショートによる定電流源を負荷とする 2SA606によるエミッタフォロワーを介して直接終段のSITをドライブしていま す。従って電圧ゲインがあるのは初段とSITによる終段だけで完全な二段増幅 アンプ構成です。 これって化美音曲さんの#1283、電流折り返しハイブリッドV−FE Tアンプの思想と通ずるものがあるように思います。 2002年 9月 8日 (日) 諏柄 渤人 (スガラボット) 最初に戻る RE^22:V-FETで金田式を試作 -その後(1)-01304/01304 GBH00150 諏柄 渤人 RE^22:V-FETで金田式を試作 -その後(1)- ( 9) 02/09/10 09:03 01302へのコメント kontonさん、こんにちは。 諏柄 渤人です。 kontonさんのV主役版: > http://www.sm.rim.or.jp/~konton/V-FET-7.gif 諏柄 渤人の改良案: http://homepage3.nifty.com/Sugarabotto/sub06/VFET_AMP_Schematic020908A3_2.gif かくしてこれら二つのアンプは、 1. 二段目アンプとドライバーFETの縦型/横型の違い 2. 電圧増幅部のN/Pの極性の違い 3. 3電源 vs. 4電源 4. 終段のシングル/パラレル の細部の違いはあるものの本質的に全く同一の回路となったわけですね。 めでたしめでたし。 2002年 9月 10日 (火) 諏柄 渤人 (スガラボット) 最初に戻る MJ10月号 安井 章先生のSITアンプ01309/01309 GBH00150 諏柄 渤人 MJ10月号 安井 章先生のSITアンプ ( 9) 02/09/12 23:18 01296へのコメント Vなみなさま、こんにちは。 諏柄 渤人です。発言のタイトル変更しました。 MJ10月号に安井 章先生のSITアンプが発表されています。これって僕が引用し た: > SITによるOPT使用PPの60Wアンプが以下のURLで紹介されています。 > http://www.ne.jp/asahi/evo/amp/SIT/page1.htm > この回路は初段差動アンプが2SK246G-Sショートによる定電流源を負荷とする > 2SA606によるエミッタフォロワーを介して直接終段のSITをドライブしていま > す。従って電圧ゲインがあるのは初段とSITによる終段だけで完全な二段増幅 > アンプ構成です。 このアンプに瓜二つですね。初段のFETによる差動増幅を受けたトランジスタ のエミッタフォロワーが電力増幅段SITのゲートをドライブ。プッシュプルの SITドレイン出力をトランスで電力合成するというものです。 違いは、初段の差動増幅の極性がオリジナルの上條アンプの場合はNチャネル、 安井先生の場合はPチャネルとなっているところと、エミッタフォロワーの負 荷が上条回路ではFETの定電流源であるのに対して、安井先生のは抵抗となっ ているだけ。多分安井先生はインターネットで公開されている上條アンプをご 存じなかったのでしょうが、これくらい近いとこれからは知らなかったでは済 まされないような。 それに安井回路はSITをドライブするゲートバイアスをコンデンサでカットし ています。たかが−12Vの初段出力直流電圧と−6VのSITゲートバイアスを4.7 μFでカップリングするなんてへんですよね。どうして直結で考えなかったの でしょうか。 あと安定化電源の電流変化による位相差が安定と言うことで安井先生は定電圧・ 定電流電源をアピールされていますが、これも今一よく分っていません。 安井式のようにレギュレータを用いなくても、増幅回路そのものの電源リップ ル耐性を追求する金田式の方がエレガントに見えるのは僕だけでしょうか。 2002年 9月 12日 (木) 諏柄 渤人 (スガラボット) 最初に戻る (工事中)(工事中本文) 最初に戻る 諏柄 渤人のホームページに戻る 最終更新日 : 2001年 9月 1日 |